畫睡鴨 黃庭堅 山雞照影空自愛 孤鸞舞鏡不作雙 天下眞成長會合 兩鳧相倚睡秋江 (PCにない旧字は常用漢字を 用いています) 山雞影を照らして空しく自愛し 孤鸞鏡に舞いて双を作さず 天下真成長く会合するは |
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牛山香流氏画 |
【通釈】 起句 承句 つれあいを失った鸞は、鏡に写った自分の姿を相手と思い舞ったが、つがいには なれなかった。 転句 この世の中で本当に仲良く、いつまでも連れあっているのは 結句 秋の川べりで、寄り合って睡っているつがいの鴨だけだ。 【語釈】 畫睡鴨 睡っている鴨を画いた絵。一書には単に睡鴨と又別の書には題畫睡鴨となって いる。 山雞 やまどり。
起句は、晋の張華の撰した[博物志]に「山雞美毛有り、自らその色を愛し、 照影 かげ(姿)を映す。又映ったかげ。 自愛 みずからその身を愛する。
自分の利ばかりを計る。 孤鸞 つれあいを失った鸞。鸞は鳳凰の一種。 承句は、つがいを失った鸞が鏡を見て、自分の姿を 雙 つがい。 天下 世の中。世界中。 眞成 まことに。 會合 会う。集り合う。連れ合う。 兩鳧 二羽の鴨。 【押韻】 平声、江韻、雙、江 起句、承句を対句とし、起句は踏み落とし。 【解説】 黄庭堅(1045-1105)は北宋、江西の人。字は魯直、山谷道人と号した。 二十三歳で科挙に及第して官途についた。後、蘇軾門下に入り、蘇門四学士の 一人となった。 蘇軾の旧党に属したため、しばしば左遷のうき目に遇った。 この詩は、江辺に寄りそって睡る、一つがいの鴨の絵を見て詠じたもので、
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