【通釈】 起句 野生のごつごつした梅の樹の枝いっぱいに咲いた花はまるで雪かとまがうばかり。
承句 梅花がひらひらと舞い落ちるさまは、雪が斜めに降っているよう
転句 夜中に風とともに紙障子の明り窓に吹きつけているのは、
結句 雪だろうか、あの梅花だろうか。
【語釈】 夜坐 夜中寝ずにじっと坐っていること。
江梅 野生の梅花。野梅。
槎牙 木の枝が角ばって、ごつごつしているさま。
飄零 ひらひらと舞い落ちる。
【押韻】 平声、麻韻、牙、斜、花。
【解説】 鄭有極は南宋の人。名は鄭会。有極は字。号は亦山。 嘉定四年(1211)の進士。
朱憙に学んだという。
この詩は、厳しい寒さの中に清らかに咲く野梅を詠じたもの。
起句、承句、結句に夫々梅、雪の二字を重ねて用いながら、重複を感じさせず、
かえって余分な語を省き、梅花の清純さと、鮮かな季節感を強調することに成
功している。
(玉井幸久)
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