「 夕殿下珠簾 流螢飛復息 長夜縫羅衣 思君此何極 |
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飯島敏雄氏画 |
上の漢詩鑑賞 |
【通釈】 起句 夕ぐれ時の宮殿の中、美しい簾を下ろすと、 承句 簾越しに蛍の火が流れ飛んでは消える。 転句 秋の夜長に、ひとりで薄絹の衣を縫っていると、 結句 あなたを思う切ない心はとめどなく、いや増すばかり。 【語釈】 玉階 玉のきざはし。宮殿のきざはし。「玉階怨」は宮殿に住む女性 夕殿 夕方の御殿。 珠簾 真珠で飾ったすだれ、美くしいすだれ 流螢 風にまかせて飛ぶ蛍。 長夜 長い夜。秋の夜長。 羅衣 薄絹の衣。 何極 どうして尽きることがあろうか。何は反語。 【押韻】入声 十三職韻 息、極。 【解説】謝朓(四六四-四九九)は南北朝時代、南朝斉を代表する詩人。清麗な風で知られる。この詩は宮殿の美しい簾の中で、ひとり衣を縫う女性に、 点滅する蛍を配し、その心中を詠出して見せた絶品です。尚この詩は、 後の唐代に詩型として完成する五言絶句のさきがけをなすものとされて います。 (玉井幸久) |