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令和7年度総会(会員) 漢詩講演会(一般向け・無料)5/29横浜市開港記念会館

第9回自詠自書の会・拡大作品展 5/28,29 横浜市開港記念会館

令和7年度漢詩入門講座開催最終日5/14 於:神奈川近代文学館

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令和6年度 さまざまな漢詩大会で活躍!  神漢連会員受賞作品  

今月の漢詩鑑賞 25.3 (過去の作品は アーカイブ に掲載中です)

画 北川龍夫

室橋幸子氏による中国語の朗読はこちらをご覧ください。

【通釈】
起句 今頃は、あなたの棲んでおられる五渡渓のほとりには山躑躅(つつじ)が紅くまっ盛りに咲いており、
承句 嵩陽寺では、説法の時を告げる鐘の音が聞こえていることでしょう。
転句 春の嵩山の山々は、どこもかも山歩きに好いところばかりでしょう。
結句 ひと月のあいだに、花を眺め乍らいくつの峰を訪れましたか。

【語釈】
李渤…人名。唐、洛陽の人。若くして学に励み兄の李涉と共に嵩山の少室山(しょうしつざん)に隠棲し、度々官に召されたが応じなかつた。後に出仕して諫議大夫となった。
五渡溪…嵩山の山中にある谷川の名。嵩山には三尖峰があり、中央を峻極・東を太室(1440m)・西を少室(1405m)という。
躑躅…つつじ。
嵩陽寺…嵩山の南側にある寺。境内にある古柏は漢の武帝が封じて大将軍と為したと伝えられる。
講時…仏法を講ずる時。
處處…どこもかも。到るところ。
應…きっと……に違いない。
幾峯…嵩山には三十六峰がある。

【押韻】
平声 東韻。紅(起句)冬韻。鐘、峯(承句、結句)通韻。

【解説】
張籍(768―830?)は中唐の詩人。貞元15年(799)進士及第。韓愈門下で孟郊・賈島と親交があり、又王建と共に楽府詩に新機軸を出した。若年時、詩の上達を願って杜甫の詩集を焼きその灰に膏蜜を混ぜて飲んだという「張籍飲杜詩」の故事がある。
この詩は、当時嵩山に隠棲していた友人の李渤に贈ったもので、嵩山での生活に思いをはせた温い友情と隠者の生活を羨む気持のこもった美しい詩となっています。起・承・転句で相手の棲む地の模様を美しく想像し、結句ではその中でどのように生活を楽しんでいますかと問う手法は美事です。
尚張籍の詩は、平成24年9月「秋思」を鑑賞しています。以上(玉井幸久氏)