[まずお読みください]
近体詩のルールについては初唐に定まったとされますが、現代までの長い時間の間にさまざまな分析がなされ諸説あるのが実情です。
用語についても同様で、推敲表も諸説ある中の一つを採用しています。
判定結果に疑問が生じた際はご指導の先生、信頼できる指導書に従ってください、と何時も申し上げていることは、用語にもあてはまります。
☆Excelのエラー
-#NAME?
推敲表を作ったExcelのバージョン(その時点での最新バージョンです)で使える関数(計算式)が、お使いのExcelのバージョンではサポートされていない場合に表示されるエラーです。
Excelのバージョンアップは2024年に入って8月8日までに21回と、かなり頻繁に行われています。環境によって、簡単にバージョンアップできるケースと、費用と手間が発生するケースがあります。
#NAME?が出た場合、ご一報下さい。推敲表の修正で回避できる場合があります。回避できればExcelのバージョンアップなしで推敲表が使えます。
ただ、セキュティの面からは、常に最新版のExcelにバージョンアプしておくことをおすすめします。
☆詩形/押韻/平仄 関連
-側体:仄声の韻字を用いて押韻した詩形。
例) 遊三遊湖 蘇軾 凍雨霏霏半成雪、幽人屡冷蒼崖滑。不辞携被巌底眠、洞口雲深夜無月。
-拗体:起承転結の各句は起句と承句は[反法]の関係、承句と転句は[粘法]の関係、転句と結句は[反法]の関係、が通常であるが
起句と承句、承句と転句、転句と結句の関係が全て[反法]になっている詩形。起句と承句の平仄式が入れ替わったもの、と考えても良い。
例) 渭城曲 王維 渭城朝雨浥輕塵,客舍青青柳色新。勸君更盡一杯酒,西出陽關無故人。
[反法] 二文字目の平仄が隣り合う句で反対になっているもの。 例) 起句○○●●●○○ 承句●●○○●●○
[粘法] 二文字目の平仄が隣り合う句で同じになっているもの。 例) 承句●●○○●●○ 転句●●○○○●●
-挟平格:平起の七言絶句の転句の二、六字目は●であるが、下三字を●○●として、六字目が二六対から外れても可とされる詩形。
[挟み平」とも[拗字法]とも呼ばれる。側体詩では[挟み仄]となる。
例) 聞王昌齡左遷龍標遙有此寄 李白 楊花落盡子規啼,聞道龍標過五溪。我寄愁心與明月,隨風直到夜郎西。
-起句踏み落とし:起句末は押韻するのが原則だが踏み落とし(押韻しないこと)を可とする詩形。前対格(起句承句が対句)であることが条件とするのが一般的。
例) 絶句 杜甫 兩箇黃鸝鳴翠柳,一行白鷺上青天。窗含西嶺千秋雪,門泊東吳萬里船。
-起句通韻:例えば [元韻]押韻の七絶の起句を[文韻]など元韻の隣接韻目の字を使って押韻すること。
近体詩では起句に限って適用されるので借韻と定義する説や、適用する隣接韻目の範囲にも諸説ある。
推敲表の通韻判定は「作詩手順(参考)」をクリックして表示されるページの下欄外の通韻表による。
例) 淸明 杜牧 淸明時節雨紛紛,路上行人欲斷魂。借問酒家何處有,牧童遙指杏花村。
-冒韻: 句末押韻した韻目の字を句末以外の位置で使うこと。一字目の平仄は重視されてこなかったのでここは冒韻チェックの対象外。
其他の位置については場所により許容する、しない、と見解が分かれる。そもそも冒韻は許容する、という見解もある。
推敲表は冒韻を禁則とするとする一つの基準で判定した上で[参考]として表示している。
☆用字 関連
-同字重出:同じ字を続けた「畳語(畳字、重言)」を使う場合や、レトリックとして同じ字を複数回使う場合を除いて、絶句の中に同じ字を2度用いてはならない、
という禁則。 虚字の重出は可、同じ字でも異なる意味で使う場合は可、など諸説ある。
推敲表はレトリックとして用いられていない場合を[同字重出] と判定する。
-畳字格:一句の中に同じ字を2度以上使うレトリック
[連用の畳字格]の例 望驛臺 白居易 靖安宅里當窓柳、望驛臺前撲地花。兩處春光同日盡、居人思客客思家。 の結句
[間を開けた畳字格]の例 泊秦淮 杜牧 煙籠寒水月籠沙,夜泊秦淮近酒家。商女不知亡國恨,隔江猶唱後庭花。 の起句
[二字の畳字格]の例 贈花卿 杜甫 錦城絲管日紛紛,半入江風半入雲。此曲秪應天上有,人間能得幾回聞。 の承句
-蝉連体:句末の一字、または二字が次の句の句頭に使われる詩形。頂針法 連暦体とも言う。
例) 辭世 吉田松陰 吾今爲國死,死不背君親。悠悠天地事,鑑照在明神。 の起句末から承句頭。
-連環体:起句句末の字を承句の句頭に使い、承句句末の字を転句の句頭に使い、転句句末の字を結句の句頭に使い、結句句末を起句句頭の字で終わらせる詩形。
例) 古都晚景 山田治様 秋老鴨川斜日浮,浮圖千載地偏幽。幽鐘勾引東山月,月冷觀音堂外秋。 (文部科学大臣賞受賞作)
-回文: 結句句末から逆に読み始めて、起句句頭で終わる詩として読んでも、七絶として成立する詩形。
例) 記夢回文 蘇軾 酡顏玉碗捧纖纖 亂點餘花唾碧衫。歌咽水雲凝靜院,夢驚松雪落空巖。(咸韻平起起句通韻)
結句句末から読むと 巖空落雪松驚夢,院靜凝雲水咽歌。衫碧唾花餘點亂、纖纖捧碗玉顏酡。(歌韻平起起句踏み落とし の七絶になる)
☆詩語関連
-虚字詩語:虚字を含む詩語。(名詞と数詞以外が虚字とされる。)
-双声語:二字の熟語で、それぞれの字の声母(=語頭子音)が同じもの。
-畳韻語:二字の熟語で、それぞれの字の韻母(=語尾音と声調)が同じもの。
-重言:二字の熟語で、同じ文字を重ねた語。(畳語、畳字とも)
☆字と平仄 (推敲表の[韻目表参照]の表の上にあるリンク[?(平仄記号)]をクリックしてご確認ください。)