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令和6年度全日本漢詩大会神奈川大会10/26 吟行会10/27 アクセス詳細
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画 犬飼勇雄氏
室橋幸子氏による中国語の朗読はこちらをご覧ください。
【通釈】
起句 初めて雁の声を聞き、蝉の声はもう聞かれなくなったこの夕(ゆうべ)。
承句 百尺の高楼から眺める(雁の飛び去る)南の方(かた)には、湖水が遥か遠く天に接するまで続く夜景が広がっている。
転句 霜を降らす女神・靑女と月の精・常娥がともに寒さに耐えながら、
結句 霜のおりたこの月夜、その清らかなあでやかさを競っているのだ。
【語釈】
霜月…①霜のおりる夜に出ている月。 ②陰暦七月の別名。ここでは①の意。
征雁…遠方へ飛びゆく雁。 ここでは秋、南に渡る雁。
百尺樓…高い楼閣。高楼。
靑女…霜や雪を司る女神。
素娥…月宮の仙女常娥。色が白いので素娥という。もと神話の英雄羿(げい)の妻。羿が西王母に請うて得た不死の霊薬を盗み飲んで仙女となって月中に逃れ月の精となった。
嬋娟…あでやかで美しいさま。
【押韻】
平声 先韻。蟬、天、娟、
【解説】
李 商隱(812-856)字は義山(ぎさん)。河内(かだい)(河南省)の人。晩唐を代表する詩人の一人、26歳の時進士及第したが、官途は不遇であった。詩は晩唐の詩人の中では温(おん) 庭筠(ていいん)と並び称せられる大きな存在で、特に七言律詩に優れ典故を多用したきらびやかで独特の風格のある難解な詩を作った。
この詩は特に難解な語は用いず、高楼から眺める晩秋の清らかな月夜の情景を、靑女と素娥(対語となっている)が倶にその美しさを競いあっているという李 商隱らしい発想で美しく詠じた作品です。以上
(玉井幸久氏)