2/27新入会員歓迎オンライン吟行会「梅林春信」が行われました。
令和5年度 漢詩入門講座 は、4/13,19,26,5/11,24に開催予定です
第7回自詠自書の会 作品展は、5/28,30,31,6/1に開催予定です
3/7更新!今月の漢詩鑑賞 (過去の作品は アーカイブ に掲載中)

画 犬飼勇雄氏
室橋幸子氏による中国語の朗読はこちらをご覧ください。
【通釈】
起句 (その昔、漢の孝王が多くの賓客を招いて遊園に日を送ったと伝えられるこの)梁園も今はすっかり寂(さび)れ、夕暮れ時の空には烏が乱れ飛び、
承句 見渡すかぎり一面もの寂しく、二三軒の民家のほかには何もない。
転句 庭の木々は、曾てこの地で楽しんだ人々が已に死に絶えたことも知らぬげに、
結句 春になればまた、昔ながらの花を咲かせている。
【語釈】
山房…①山中の家。山家。②山寺。
春事…春興。春のおもむき。
梁園…漢の文帝の子・孝王の荘園で梁(河南省)にあった。孝王は園中に楼台を築き、当時一流の文士を招いて住まわせ、日々遊園を楽しんだ。
極目…見渡すかぎり。
蕭條…ものさびしいさま。
春來…春になると。
發 …花のひらくこと。
舊時花…昔ながらの花。昔と同じ花。
【押韻】 平声、麻韻。鴉、家、花、
【解説】 岑 参(七一五―七七〇)は盛唐の人。玄宗の天宝三(七四四)年の進士。天宝八(七四九)年以降数年の間、安西節度使や北庭節度使の幕僚となって新彊ウイグル地域に従軍した。また安禄山の乱の時は粛宗の陣に馳せ参じ右補闕に任ぜられ、杜甫と親交した。
この詩は作者が梁園の廃墟を訪れた時の作で、その寂れた春景色に接し人間世界の栄枯無常を歎じた絶唱とされ、転句・結句の表現は後世多くの詩人の踏襲するところとなっている。
一方で、この詩は作者が若年時に居住していた嵩山々中の旧居を後年自ら訪れた時の作で、荒れはてた庭園を梁園と表現したのではないかという説がある。それに従えば、この詩のような風景は今日我が国の山村の到る処に見られるもので、詩はそのまま現代日本人の心に迫ります。漢詩の生命力の豊かさを感じさせてくれる傑作と云えます。以上(玉井幸久氏)