トップページ

令和6年度全日本漢詩大会神奈川大会10/26 吟行会10/27 

漢詩講演会等は26日に行われる予定です。

7月HP漢詩鑑賞 更新しました。

令和6年度会長挨拶「神漢連のよき伝統を生かそう」

5/30鷲野正明先生講演会「花はいつ開く ー漢詩と暦ー」YouTube

第8回自詠自書の会作品展5/29~31 フォトギャラリー

令和6年度漢詩入門講座卒業詩受賞作品はこちら

今月の漢詩鑑賞 24.7更新 (過去の作品は アーカイブ に掲載中です)

画 鈴木栄次氏

室橋幸子氏による中国語の朗読はこちらをご覧ください。

【通釈】
起句 むさくるしい小路のひっそりとした林の中、私の住居はいつも門を閉じたままで、
承句 はるかに世間から離れて、独りで前山を友にして隠者暮らしをしているのだが。
転句 今朝は、かの嵆(けい)康(こう)さんのような皆様の不意のご来臨とあって、
結句 あたふたと履物をさかしまにつっかけて門を開き、遠くに皆様の姿を見てうれしくてにっこりしました。

【語釈】
王摩詰…王維のこと。摩詰は王維の字(あざな)。 林亭…林の中のあずまや。林中の別荘。
窮巷…むさくるしいちまた。行き詰まつた小路。
空林…①人里離れた林。人気(ひとけ)のない林。  ②木の葉の落ちつくした林
閉關…門を閉じて客をことわる。身を隠す。
嵆生駕…晉の嵆(けい)康(こう)(竹林の七賢の一人)が友人の呂安(りょあん)に会いたくなると、すぐに車を命じて会いに行った故事をふまえる。枉駕(おうが)は人の来訪をいう。敬語。枉駕光臨。
倒屣…慌てて履物を逆さにはく。急いで出て行き心から人を歓迎することにいう。〔魏志、王粲傳〕蔡邕才學顯著、貴重朝廷、常車騎塡巷、賓客盈坐、聞粲在門、倒屣迎之……。
解顔…顔色をやわらげる。にっこりする。

【押韻】
 平声 刪韻。關、山、顏、

【解説】
 崔 興宗(?―?)は盛唐の人。終南山中に隠棲し、王維・裴迪等と親交した。
この詩は、王維が親友の盧象(ろしょう)・裴迪(はいてき)・弟の王縉(おうしん)の四人で崔興宗の山荘を訪れたのを迎えた時の作。崔興宗自身の隠棲の生活ぶりや、親友を迎えた喜びを素朴に詠じたほほえましい作品です。
なおこの時、訪問者四人全てが詩を贈っていますが、その中の王維の詩を下に掲げます。


與盧員外象過崔處士興宗林亭 王維
 盧員外象(ろいんがいしよう)と崔処士興宗(さいしょしこうそう)が林亭(りんてい)に過(よ)ぎる 
綠樹重陰蓋四隣  緑樹(りょくじゅ)重陰(ちょういん) 四隣(しりん)を蓋(おお)う 
靑苔日厚自無塵  青苔(せいたい)日(ひ)に厚(あつ)くして自(おのず)から塵無(ちりな)し
科頭箕踞長松下  科頭(かとう) 箕踞(ききょ)す長松(ちょうしょう)の下(もと)
白眼看他世上人  白眼(はくがん)にして看(み)る他(か)の世上(せじょう)の人(ひと)

科頭…冠や頭巾をかぶらないむき出しの頭。
箕踞…両足を投げ出してあぐらをかいてすわる。
長松…隱逸の象徴。
白眼…冷淡な、軽蔑する目つき。〔晉書、阮籍傳〕能為靑白眼、見禮俗之士、以白眼對之。
世上人…世俗の人。以上(玉井幸久氏)