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Eテレ「秋にうたう」全漢連会長 鷲野正明先生出演 11/3
放送された演題、詩歌はこちらです。11/10まで、NHK ONEで見逃し配信中です。
御礼 11/6 市川桃子先生漢詩講演会 続・『三国志の英雄』曹操の思い
2021.10.14「三国志の英雄 曹操の悲哀」 神漢連YouTubeでご覧になれます。
㊗ 令和7年度全国漢詩大会 会員受賞作品
令和7年度研修会 12/19、24 開催予定 専用詩稿はこちら
今月の漢詩鑑賞 25.11 (過去の作品は アーカイブ に掲載中です)
画 北川龍夫氏
室橋幸子氏による中国語の朗読はこちらをご覧ください。
【通釈】
起句 邯鄲の宿場で冬至を迎えたのだが、
承句 宿屋の夜はさびしく、独り灯前で膝をかかえて自分の影と向きあっている。
転句 こうして思うのだが、今夜は家人達は深夜まで団欒して、
結句 遠く旅している私を懐って、「今頃は何処に宿っているだろうか」などと噂していることだろう。
【語釈】
邯鄲…地名。河北省西南部及び河南省北部にまたがる地。今、河北省南部に邯鄲市がある。春秋時代は衞の地、戦国時代は趙に属し、漢の高帝、張耳を立てて趙王としこの地に都せしむ。唐の時代、盧生の「邯鄲之夢」の故事がある。
至夜…冬至の夜。
親…①おや。 ②身内。家人。 ここでは②。
驛…宿駅。宿場。 旅客を宿し、また荷物を運搬する為の馬をつなぐ所。
冬至…二十四節気の一。 陽暦十二月二十二日頃。
抱膝…(ホウシツ)ひざをかかえる。 相手が無くひとりぼっちのさま。
家中…一家の中。
夜深…夜がふける。
應…まさに……ベし。 推量の意を表す再読文字。
説著…話をする。 著は助字(例、逢着)
【押韻】
平声 眞韻。身、人、 起句は踏み落とし。
【解説】
白 居易(772―846)は中唐の大詩人。字は楽天。官は高位にのぼり、当代最高の文人としての名声を擅にし、当時稀にみる75歳の長寿と清らかな晩節を全うした稀有の人。生涯を通じて三千数百首の詩を残した。
此の詩は作者が都長安に勤務していた当時(37,8歳の頃か?)官命により旅に出て、邯鄲の旅館で独りさびしく冬至の夜を迎え、遠く家族を思って作ったもの。白居易の家族に対する素朴な愛情のにじむような詩となっています。情の人、白居易はこの他にも友人や家族に対する愛情のこもった詩を多く残しています。尚、この欄ではこの詩と趣を同じくする高適の詩「除夜作」を平成24年12月に鑑賞しました。
以上(玉井幸久氏)