トップページ

令和6年度全日本漢詩大会神奈川大会 特設サイト 開設しました!

一般向け 令和6年度漢詩入門講座 開講受付中 4/10 17 24 5/8 22 計5回

第8回自詠自書の会作品展開催します。 5/29~31 於 大佛次郎記念館

オンライン吟行会 「港」2/26開催しました。作品は こちら 

全国漢詩大会 会員受賞状況(令和5年度『扶桑風韻』漢詩大会6名受賞!)

今月の漢詩鑑賞 24.3更新 (過去の作品は アーカイブ に掲載中です)

画 犬飼勇雄氏

室橋幸子氏による中国語の朗読はこちらをご覧ください。

通釈】
 起句 花が散った後の曲江の隄には、暖かいもやがたなびき、
 承句 雨あがりの若草の色が遠く連なっている。
 転句 その中に乗り入れて来る美しい馬車よ、どうかこの青々とした草をひきつぶしてしまわないで、
 結句 ここで春を楽しんでいる遊人がちょつと酔って眠るくらいの余地は残しておいてもらいたい。

【語釈】
 曲江…長安の東南隅にあつた池苑の名。水流が屈曲しているのでこの名がある。初め漢の武帝がこの地に宜春苑を造り、唐の開元年間に疏鑿を加え池畔に紫雲樓、芙蓉苑、杏園、慈恩寺、樂遊原等の勝地があった。唐代、春その年の進士及第者に曲江にて皇帝から宴を賜った。
 暖煙…あたたかいもや。
 雨餘…雨あがり。雨降りのあと。
 香輪…立派な馬車。高貴の馬車。
 輾破…車輪が物をひきつぶす。
 靑靑…青々とした草。
 留與…とどめあたえる。
 醉眠…酒に酔って眠る。

【押韻】
 平声 先韻。煙、連、眠、

【解説】
 鄭 谷(八四二?―九一0?)は唐、袁州(江西省)宜春の人。字は守愚。光啓三年(八八七)進士及第、右拾遺、都官老中に到った。末唐期の芳林十哲の一人に数えられる。唐代、春のはじめに野外に遊び飲食することを踏靑と云い、二月二日を踏靑節と呼んだ。
 この詩は、曲江踏靑の模様をさらりと詠じた佳作であるが、或いは作者自身科挙落第時の作とし、転句の香輪は皇帝の賜宴に集う及第者達のもの、結句の言わんとするところは「少しは落第者の身にもなつてくれ」と解することも出来る。今日の我が国の春の花見の喧騒さえ思わせる作品です。
 以上(玉井幸久氏)