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神奈川県漢詩連盟創立20周年記念事業始まる

漢詩講演会「杜甫と家族 日常を愛し日常を詠う」高芝麻子先生 6/5開催

令和8年度漢詩入門講座 開講中 4/8,4/15,4/22,5/13,5/27

令和7年度全国漢詩大会 会員受賞作品  

今月の漢詩鑑賞 26.5(過去の作品は アーカイブ に掲載中です)

画 北川龍夫

室橋幸子氏による中国語の朗読はしばらくお休みします。

【通釈】
起句 かの邵平にまねた瓜畑が我が書斎に接して広がっており、
承句 穀雨の時節には雨の晴れ間に、ふと思いたった時に自分で手鋤を持つて草取りをする。
転句 昨日は、春風が私の不在を見すかしあなどって、
結句 書斎にまで入り込み、読みかけの書物を床に吹き散らしていた。 

【語釈】
老圃堂…作者が自らの書斎に付けた名。野菜作りの老人の家の意。圃は野菜畑。老圃は畑作りに老練な人のこと。この語は論語より出たもの。
〔論語・子路〕樊遲稼を学ばんことを請う。子曰く。吾老農に如かずと。圃を為すことを学ばんと請う。子曰く。吾老圃に如かずと。
邵平瓜地…邵平の瓜畑。邵平は人名。秦末・前漢時代の人。秦の時、東陵侯に封ぜられたが秦が亡んだ後、招かれても仕官せず貧しく長安の東郊で瓜作りになった。その瓜が美味で評判となり東陵瓜と称せられた。
廬…いおり。家。
穀雨…二十四節気の一。清明の次に来る節気で陽暦四月二十日頃に当る。穀類を育てる雨の意。
偶… たまたま。 ふと。
鋤… すく。 手鋤を持って除草する。
欺…あなどる。 あざむく。
讀殘…読みかけ。 読みさし。

【押韻】
平声 魚韻。廬、鋤、書、

【解説】
この詩は曹鄴の作とする説と、薛能の作とする説がある。いずれも晩唐の人であるが、両者の履歴に鑑みここでは曹鄴の作とする。
曹 鄴(?―?)字は業之。桂州(広西省・桂林)の人。大中年間(847~859)に進士及第し、太常博士や祠部郎中を経て最後は洋州(陝西省西南部・漢江の上流)の刺史となった。この詩はおそらくは作者が官を辞し地方に隠棲した後の作であろうと思われる。
「邵平瓜地」については、邵平の生きた前漢初期と作者の時代には約千年の時差があり、また作者の老圃堂が長安の東郊に在ったとも思えないので、この語は自分が邵平をまねて植えた瓜畑と解釈する。更に、作者が官を辞した晩唐の頃は朝廷は宦官の専横と権力者の横暴により衰弱し、地方は農民の暴動いわゆる黃巣の乱に苦しんだ時代であったことに鑑み考察すれば、この詩は或いは唐王朝に忠節を誓う作者自身を邵平に擬したものとみることも出来る。老圃・邵平などの故事を巧みに用い、自らの晴耕雨読の生きざまをさりげなく詠じた美事な小品です。以上(玉井幸久氏)