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2025年度漢詩入門講座開催予定 4/9,16,23,5/14,28 於:神奈川近代文学館
御礼 令和6年度全日本漢詩大会神奈川大会 盛会のうちに終了しました!
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㊗令和6年度全日本漢詩大会神奈川大会 神漢連会員受賞作品
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㊗第16回諸橋轍次博士記念漢詩大会 神漢連 会員受賞者発表
今月の漢詩鑑賞 24.11更新 (過去の作品は アーカイブ に掲載中です)
画 北川龍夫氏
室橋幸子氏による中国語の朗読はこちらをご覧ください。
【通釈】
起句 かの東林寺の境内を流れる虎渓のような渓流を、静かに照る月影にみちびかれて渡れば、
承句 雪をかぶった松の枝々にはつたかずらが垂れ下っている。
転句 遠く限りなく続くとみえた山々も行くにつれて尽き、ようやく寺にたどりついた。
結句 白雲が深く立ちこめるこの寺には年老いた多くの高僧が修行しておられるのだ。
【語釈】
僧院…寺。 寺院。
虎溪…江西省廬山にある東林寺の前を流れる渓流。昔、晋の名僧慧遠(えおん)がこの寺に住み自ら禁足の誓いを立てて、来客があっても虎渓を過ぎて見送ったことはなかったが、ある日親友の陶淵明と陸修静が寺を訪れ辞去する時に慧遠は話に夢中になり思わず共に虎渓を渡ってしまい、気が付いた三人は顔を見あわせて大笑いしたという「虎渓三笑」の故事がある。
閒月…静かに照る月。
引 …引く。みちびく。
帶雪…雪をおびる。雪をかぶる。
薜蘿…マサキノカズラ と ツタカズラ。
行 …ゆくゆく。 歩きながら。 進むにつれて。
老僧…年老いた僧。
【押韻】
平声 歌韻。過、蘿、多、
【解説】
釋 靈一(七二七―七六二)は盛唐末期の僧。剡中(せんちゅう)(浙江省)一説に廣陵(江蘇省)の人。俗姓は呉。浙江会稽山中の雲門寺、余杭の宜豐寺、揚州の慶雲寺等に住んだ。高徳の僧として弟子が多く、禅誦の間に多くの詩歌を賦し、劉長卿・張繼・皇甫曾・郎士元・嚴維・僧靈徹等と塵外の交わりを楽しんだ。また山水を愛し浙東浙西の名山や名刹は悉く訪れたという。
この詩は作者がさる名刹を訪れた時の作で、寺の前を流れる渓流を虎渓になぞらえ、雲深い山中に在る僧院の模様と其処に住む高僧たちを訪れようとする自らの清らかな心情を言外に美しく詠じた佳作です。なお、この詩を作者が廬山の僧院を訪れた時の作とし、実際に虎渓を渡ったという説もあります。以上
(玉井幸久氏)