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11/6 市川桃子先生漢詩講演会開催 続・『三国志の英雄』曹操の思い
2021.10.14「三国志の英雄 曹操の悲哀」 神漢連YouTubeでご覧になれます。
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漢詩鑑賞会A特別企画 「玉井幸久先生百壽玉詠」掲載
今月の漢詩鑑賞 25.9 (過去の作品は アーカイブ に掲載中です)
画 犬飼勇雄氏
室橋幸子氏による中国語の朗読はこちらをご覧ください。
【通釈】
起句 君はただ一人で舟旅をして遠く天のはてまでよく訪ねて来てくれた。
承句 舟旅のあとの、雲のかかった山々の間を曲がりくねって連らなる陸路は更にいつそう遠く感じられたことでしょう。
転句 粗末な住まいを掃除して、遠來の客をおもてなししたいと思うのだが、
結句 貧乏屋敷には青々とした苔と黄葉が満ちているばかりで、何のおもてなしも出来ません。
【語釈】
酬…むくいる。①酒席で受けた杯をさし返すこと。②贈られた詩に詩を作って応答すること。
李穆…人名。唐の人。劉長卿の女婿となった。
孤舟…ただ一そうの舟。つれのない舟。ここでは舟による一人旅をいう。
相訪…訪ねる。相は相互の意ではなく対象を訪うの意。
天涯…天のはて。ごく遠いところ。
柴門…柴で作った門。転じてむさくるしい家。隠者の棲まい等にいう。
【押韻】
平声 麻韻。涯、賖、家、
【解説】
劉 長卿(709―785)は盛唐の人。字は文房。開元21年(733)進士及第。官途に就き淮南岳鄂轉運留後の職に在った時、無実の罪で潘州(広東省)に流された。後赦されて睦州(浙江省・淳安縣)司馬となり、更に随州(湖北省)刺史となった。この詩は作者が睦州に在った時、女婿(むすめむこ)の李穆が彼のもとを訪ね詩を贈ったのに酬えたもの。詩の全半で遠來の客をねぎらい、後半で貧乏暮しで何のおもてなしも出来ないとあやまる分りやすい詩となっているが、遠路訪ねて呉れた女婿への労をいたわる心情と共に、風雅な住まいの様子が感じられる美しい詩となっています。以上(玉井幸久氏)