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     通釈】  起句  春風が吹いて来て、まつ先に御苑の梅の花を綻ばせると、
        承句  桜(ゆすらうめ)、杏(あんず)、桃(もも)、梨(なし)等、庭の花々が次ぎ
           つぎと咲いてゆく、
        転句  都から離れた草深い田舎の里では薺(なずな)の花や楡(にれ)の莢(さや)も
           また、
       結句  春風がわれわれのために吹いて来た、と喜ぶのだ。



    【語釈】 苑   草木を植えた庭園。宮中の庭園。御苑。
       櫻   ゆすらうめ、桜桃。苑に植えて実を食す。
       次第  順序。つぎつぎに。順次に。
       薺   なずな。ぺんぺん草。
       楡莢  楡は樹木の名。にれ。春、新芽に先立って莢のある小花を付ける。楡莢は
           その莢(さや)。
       亦   もまた。・・・もまた・・・である。


    【押韻】 平声、灰韻。梅、開、來。


    【解説】 白居易(七七二-八四六)字は楽天は、中唐の大詩人。
     官は高位にのぼり、当代最高の文人としての名声を擅にし、当時稀にみる七十五歳の
     長寿を全うし清らかな晩節を全うした稀有の人。
     この人の詩は本欄でもすでに多数鑑賞している。
     この詩は作者六十歳頃の作とされている。この頃白居易は政争を嫌い、中隠と称して
     洛陽郊外に隠棲し、仏教への傾倒を深めていた。
     詩は、起句、承句に、梅に始まって桜(ゆすらうめ)、杏、桃、梨と次々に綻ぶ苑中の
     花を詠じて、都で春を謳歌する高貴人達を思わしめ、転句、結句では、これまであま
     り詩中に入ることの無かった野生の薺や楡に目を向けて、都から離れた村里で春を楽
     しむ素朴な庶民の生活を思わしめている。津々浦々に及ぶ春の自然の恵み、政治も
     かくあるべしとの含意とも受けとれるし、又足るを知る生きざまへの共感とも受けと
     れる。白居易の詩らしく、用語はすべて平易ながら、味わい深い逸品です。

                                      (玉井幸久)